生物と無生物のあいだ
2007/9/25以下本文より
“秩序は守られるために絶え間なく壊されなければならない
~1944年、シュレーディンガーの「生命とは何か」で、彼は、先に記したように、すべての物理現象に押し寄せるエントロピー(乱雑さ)増大の法則に抗して、秩序を維持しうることが生命の特質であることを指摘した。
エントロピー増大の法則は容赦なく生体を構成する成分にも降りかかる。~しかし、もし、やがては崩壊する構成成分をあえて先回りして分解し、このような乱雑さが蓄積する速度よりも早く、常に再構築を行うことができれば、結果的にはその仕組みは、増大するエントロピーを系の外部に捨てていることになる。
つまり、エントロピー増大の法則に抗う唯一の方法は、システムの耐久性と構造を強化することではなく、むしろその仕組み自体を流れ中に置くことなのである。
私はここで、シェーンハイマーの発見した生命の動的な状態(dynamic state)という概念をさらに拡張して、動的並行という言葉を導入したい。~自己複製するものとして定義された生命は、シェーンハイマーの発見に再び光を当てることによって次のように再定義されることになる。
生命とは動的平衡(dynamic equilibrium)にある流れである”
・生物と無生物のあいだ
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ところで、文中には僕がよく遊びに行く、隣のソーク研究所(ルイス・カーン, 1960)の記述があり驚いた。どうやらDNAの二重螺旋で有名なワトソン&クリックの片割れ、フランシス・クリックが後年ここに所属していたとのこと。
文中より
“スペイン語で「宝石」を意味するラホイヤには、アメリカの富がまさに文字通りジュエルのように凝縮され、さんさんと降り注ぐ太陽の光を浴びて硬質な美しさを発している。ラホイヤ北部の、海に面した小高い丘の上にソーク生物学研究所はある。世界最高の生物学研究施設のひとつであり、かつ「私立」機関でもある。周囲は砂と岩が広がる荒地。そこに忽然と屹立するソークは訪問者の意表をつく。
ルイス・カーン設計のその建物は、木材と打ちっぱなしコンクリートからなる低層の研究棟が、ちょうど中世の修道院のように、中空のコートを中心にして回廊状に配置されている。コートは植え込みひとつない石畳だ。
太平洋を望む面だけは開口しており、コートの中央を貫く水路が、そのまままっすぐに伸びて海と水平線の境界へと飛翔する。カーンはこれを「空へのファザード」と名付けた。ソークに集った超一流の研究者たちは、この開かれたファザードからまさに世界に向けて新しい情報を日夜、発信している。”
・Salk Institute for Biological Studies
